(出典:Link11 / Distributed Denial of Service Report First Half of 2020)

本連載の第72回で、ドイツのITセキュリティプロバイダーであるLink11社による、DDoS攻撃(注1)の発生状況に関する調査結果を紹介させていただいた(注2)が、同社による最新の調査結果が2020年8月6日に発表されたので、本稿ではこちらを紹介したいと思う。

なお第72回で紹介した報告書は、2018年の1年間における発生状況をまとめたものであったが、今回発表された最新版は、2020年の上半期の状況をまとめたものである(注3)。具体的には2020年1月1日から同年6月30日までの間に、同社のオペレーションセンターがネットワークをモニタリングして収集したデータが用いられている。

本報告書ではまず、今年上半期のDDoS攻撃の背景事情として、新型コロナウイルスによるパンデミックの影響が解説されている。これによると、パンデミックの影響で在宅勤務を含むリモートワークが増えたことで、2月の初めから4月上旬までの間、世界中のインターネットにおける通信量が40%増加したという。このように全体的に通信量が増えている状況で、比較的少ないデータ量によるDDoS攻撃でも十分な効果が得られるようになったということが指摘されている。