写真を拡大 (出典:Databarracks / Data Health Check 2020表紙)

データバックアップやITシステムの災害復旧などのサービスを提供している英国のDatabarraks社は、ITのレジリエンスやサイバーセキュリティーなどに関するアンケート調査を、英国内の組織(公的機関や非営利団体を含む)におけるIT部門の管理職および担当者を対象として、2008年から毎年実施している(注1)。本稿ではこれの2020年版となる「Data Health Check 2020」を紹介する。

図1は直近12カ月間におけるデータ遺失の原因を尋ねた結果である。本報告書においては、人為的ミス(Human error)が急増している理由や背景については特に記述されていないが、サイバー攻撃(Cyber attack)が2008年の調査開始以来はじめて減少に転じたことに注目されており、これはサイバー攻撃の脅威に対して、組織がようやく対策し始めた結果が現れてきたものとコメントされている(注2)。

写真を拡大 図1. 直近12カ月間におけるデータ遺失の原因の推移(出典:Databarracks / Data Health Check 2020)

これに関連するデータとして、災害復旧(Disaster Recovery)に関するテストの実施状況が紹介されている。「サイバー攻撃に特化した災害復旧プロセスのテストを直近12カ月間に実施したか?」という設問に対して、これを実施したと回答された割合は、2018年に68%、2019年に69%だったものが、2020年には77%となっている。

本稿では図の掲載を省略させていただくが、直近12カ月に発生したIT途絶(IT downtime)の最大の原因に関しては、サイバー攻撃が引き続き上昇傾向にある。したがって、サイバー攻撃そのものは増えているが、防御策の実施やデータのバックアップからの復旧などによって、データの遺失を避けられることが増えたのかもしれない。